「ご近所芸術学」がはじまりました。初回はいさざ会館にて拓本の技術をちょこっと勉強しました。身近なあれこれが紙に写し取られることは、写真を撮ることよりも何か刺激的な感じがします。なぜでしょうか。(小さい頃に必ずやった「硬貨を紙に写し取る」という行為はなぜかドキドキしました。あれは拓本の「干拓」という技術だったのですね。)

 拓本は視覚だけでなく「触覚」も使います。紙に写し取るとき直接でこぼこにふれるからです。まちを行くとき、直接肌で道を感じながらは歩きませんよね。しかし拓本という目的を持って道を歩くことが私たちをそんな「日常」から「非日常」へ誘います。道にへばりついてなんでもない道の片隅を真剣にこする「非日常」の世界が繰り広げられているからです。拓本を取る姿ははたからみれば滑稽に見えます。参加者としてはなにかやってはいけないいたずらをやっているようでちょっとした快感も覚えます。

 

 見慣れたものが紙に「痕跡」として残ることは今まで触れたことのなかった表現の領域へ簡単に私たちを導きます。そして人間の「認識」というものはあいまいなものであることを考えさせられます。見慣れたはずのもののでこぼこやざらざらが紙に浮かび上がるだけなのに、新しい発見のように見えて私たちを驚かせてくれるからです。私たちは周囲のものをしっかりと見ているようで何も見ていないのかもしれません。

​日常では感じられなかった美を目の前に見せてくれる技術。それが「美術」なのでしょうか。

「いさざ会館」は地域をつなぐ文化交流施設です。アートや福祉などの活動を通して「ひととひとの横のつながり」を作り豊かな地域を作ること、表現活動を通じ多様な人や社会を認めあえる地域を作ることを目的にしています。また舞鶴にあるおもしろいものや人を発見し、舞鶴の豊かさを広く発信していきます。

浦岡雄介(うらおかゆうすけ)

1981年生まれ。神戸出身。舞鶴市内の中学校で講師を務める。専門は美術教育。

2015年文化交流施設「いさざ会館」を開設。同館を用務員として住み込みで運営。造形教室やアート・福祉に関わるワークショップ、またライブ、お祭り、中高年向けサロンの企画・運営、レンタルスペースを行い地域に関わる活動を行っている。

 

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